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☑患者 義姉。
☑主訴 流行性角結膜炎による右目の充血、腫れ、目の塞がり。
☑現病歴 子供たちからご主人、姉ぎみに順番に感染。我々に移してはいけないと思い来るのをためらっていたが、治らないとドクターストップで、教師をしている小学校の修学旅行に引率できないので、何とか間に合わないかと連絡がきた。
やはり感染を気にしていたので、「俺、生命力に溢れてるから大丈夫、絶対に移らへんからおいで」と姉ぎみの背中を押してようよう来院。
☑愁訴 肩こり。
☑経絡腹診 肺脾虚、心肝実、腎平。
☑脉状診 浮、数、虚。
☑比較脉診 肺脾虚、心肝実、腎平。
☑証決定 肺虚心実証。
☑適応側の判定 女性であるが病症が右に偏っているため、健康側ではなく、左を適応側とした。
☑本治法 左太淵に補法。
肺と共に脾の脉も出たので太白はとばして、左寸口沈めて心の脉位に在る虚性の邪に対して、右心包経を切経して最も邪気実の客している右大陵に堅に応ずる補中の瀉法。
☑補助療法
✅宮脇奇経治療 宮脇奇経腹診®より任脉と手陽明脉と診断。
右列缺-右照海と右合谷-右陥谷に主穴に5壮、従穴に3壮知熱灸で奇経灸して金銀粒を貼付。
☑標治法
✅大椎と風門に知熱灸7壮ずつ。
✅イトーメディカル社製アルミ圓鍼で右眼窩上縁を中心から外に向けて20回擦窩。
☑止め&セーブ鍼 中脘✖非適応側天枢✖適応側天枢✖下腹部最陥凹部&百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
☑セルフケア 自宅で奇経にドライヤー灸をするように指導。
☑経過 3回治療して腫れと充血が引き目が開くようになり、これならば感染の心配はないでしょうとの医師のお許しをいただくことができ、無事に教え子たちと修学旅行へ✌
☑反省と考察 結膜炎は肺虚本証が多いです。
陰経を整脉力豊かに補えると、手足の陽明経に邪気実が浮いてきます。
脉状に応ずる各論的瀉法の手技手法で処理するとよくなってきます。
邪気実が深くなると心・心包に入室します。 
心・心包に邪気実を認めたら躊躇せずに瀉しましょう。
経絡治療家の間でよく言われている「心に虚なし腎に実なし」は誤りです。
正しくは「五臓全てに虚実あり」が臨床的です。
何はともあれ、姉ぎみのお役に立ててよかったです。
何てったって愛する妻の姉ぎみですから。
お陰さまで僕だけお土産二つもらいました😉
☑患者 義母。
☑主訴 左顔面の腫れ痛み。
☑現病歴 両手に荷物を持って運んでいる際に足がもつれて転倒。
前向きに倒れて左顔面を強打。
胃経の承泣から小腸経の顴髎にかけて腫れている。
☑愁訴 肩こり。
☑経絡腹診 肝腎虚、肺脾実、心平。
☑脉状診 浮、数、虚。
☑比較脉診 肝腎虚、肺脾実、心平。
☑証決定 肝虚脾実証。
☑適応側の判定 病症が左に偏っているため健康側の右を本証、患側の左を副証とした。
☑本治法 右行間、右然谷に補法(炎症と顔面部に対応して火穴を選穴)。右関上沈めて脾の脉位に在る虚性の邪に対して左足太陰脾経を切経して最も邪気実の客している左陰陵泉に枯に応ずる補中の瀉法。右関上浮かして胃の脉位に浮いた虚性の邪に対して左足陽明胃経を切経して最も邪気実の客している左豊隆に塵に応ずる補中の瀉法。
☑標治法
イトーメディカル社製アルミ圓鍼の柄の方を寝かして患部に当て手前に引くように40回、腫れている箇所をまんべんなく擦窩。
☑止め&セーブ鍼 中脘✖非適応側天枢✖適応側天枢✖下腹部最陥凹部&百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
☑経過 その日中に腫れ痛みが引く。
2回で治癒。
☑反省と考察 腫れ痛みをひかすにはアルミの材質が効果的です。
圓鍼の丸の方で擦窩すると引っ掛かって痛いので、柄の方で水平に寝かして擦窩します。
今回はやっていませんが、打撲に最もいいのは刺絡です。
☑患者 20代女性。
☑主訴 乳腺が腫れて痛い、母乳が出ない。
☑現病歴 産後6ヶ月、数日前から左のオッパイが腫れてきた。かかりつけの助産院で乳房マッサージなど処置を受けるも腫れがひかず来院。
☑愁訴 頭髪を抜いてしまう。
☑経絡腹診 脾心虚、肝腎実、肺平。
☑脉状診 浮、数、細、虚。
☑比較脉診 脾心虚、肝腎実、肺平。
☑証決定 脾虚証。
☑適応側の判定 病症が左に偏っているため本証を健康側、副証があれば患側に振り分ける。
☑本治法 右太白、右大陵を補い、右関上浮かして胃の脉位に浮いた虚性の邪を患側の足陽明胃経を切経して最も邪気実の客している左豊隆に枯に応ずる補中の瀉法。
☑補助療法 
✅宮脇奇経治療 宮脇奇経腹診®より衝脉と診断。
左公孫-左内関に主穴に5壮、従穴に3壮知熱灸で奇経灸して金銀粒貼付。
乳頭より上は合谷-陥谷、下は陥谷-合谷でほとんとが解決しますが、手足の陽明脉で変化がないときは公孫-内関が的中します。
☑標治法
✅膻中と左天宗に知熱灸5壮。
✅患部に瀉的散鍼。
☑止め&セーブ鍼 中脘✖非適応側天枢✖適応側天枢✖下腹部最陥凹部&百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
☑セルフケア 奇経と膻中と左天宗に自宅でドライヤー灸をするように指導。
天宗はご主人にしてもらうように指示。
断られたら「じゃああんたがお乳あげて💢」と言いなさいと助言&笑い話😊
☑経過 2日後来院。前回の治療後腫れはひいて治癒。
また腫れたらおいでとして、今回で終了。
☑反省と考察 乳腺炎は気血の阻滞です。
病因病理はストレスです。
頭髪を抜くことで肝鬱を解消していたのでしょう
五臓では脾の主り、経絡は胃、乳頭は肝、母乳は小腸が関係します。
妊娠中は心経と小腸経が閉じます。
産後は小腸経は上に血を巡らせ母乳を作ります。
心血が回復すると心経は下に血を巡らし月経が復活します。
この血を作るのが脾、巡らせるのは肝です。
脾肝のバランスが崩れると乳腺がつまって腫れます。
産前も産後も大事にしてあげてください。
子はかすがいですが、妻は家宝です。
朝5時30分。
息子のよい止めの治療のためにたたき起こされる。
野球の試合で車で1時間程のグラウンドに向かうらしいのだが、彼にとっては何よりも憂鬱になる車移動。
揺れ方や座席の臭いによっては5分もたたない間に気分が悪くなるときもある。
また妻にとっても不安の種である。
眠たい目を擦りながら治療。

  1. 左外関に大腸経に向けて皮内鍼を貼付。
  2. 左右の三陰交に肝経に向けて皮内鍼を貼付。
  3. 左内関-左公孫に金銀粒貼付。
  4. 左右の中央厲兌に金粒貼付。
研修会で大阪にいたため、夕方妻に電話をして確認すると、無事に車によわずに行って帰って来れたとのこと。
やり方
  • 外関
  1. 左右の外関の圧痛を比べる。圧痛を比べて強い側に皮内鍼をとめる。
  2. 経に対して垂直にとめる。
  3. また向きが大事である。大腸経に向けるか小腸経に向けるかを決める。
  4. 片方の手で脉を診ながら、もう片方の指で外関から大腸経にずらしたときと、小腸経にずらしたときと、どちらの方が脉がよくなるかを確認する。よくなる方に向けてとめる。モニターは脉でも皮膚の艶でも肩腰のはりでもよい。良くなるのが分かればモノサシは何でもいい。
  • 三陰交
  1. ​左右の三陰交に皮内鍼をとめる。
  2. 経に対して垂直にとめる。
  3. 腎経に向けるか肝経に向けるかを確認してよくなる方に向けてとめる。
  • 内関-公孫
  1. ​左内関-左公孫に金銀粒を貼る。
  2. 右公孫の場合もある。
  3. 鑑別は圧痛の強い側。
  • 中央厲兌
  1. ​金粒を貼付。
小さいお子さんの場合、鍼を怖がることが多々あります。
皮内鍼を固定する布団テープにアンパンマンやドラえもんの絵を書いて、これをはるからね~ってやると喜んでくれます。
※奥村幸希子氏発案
修学旅行などで生理を遅らせる
乗り物よい以外に、結構相談を受けるのがコレです👆

修学旅行だけでなく、クラブの大会の日に、丁度来潮しそうなのを、遅らしてズラすことができるものがあります。
  1. 左右を比べて圧痛の強い側の蠡溝
  2. 両三陰交
  3. 左築賓に、経に対して垂直に皮内鍼をとめ、
  4. 右太衝-右通里+右照海-左列缺に金銀粒またはPM粒を貼ります。
旅行から帰ってきたら、大会が終わったら外してください。
きちんと来潮するので安心してください。
鍼灸でご家族のみなさんを健やかに。
妻の祖母の敬老のお祝いでうかがったところ、右目が塞がっていて、左目は涙と目やにが酷い。

義母や義姉は目やにで右目も引っ付いて開けられないだと言っているが、どうも下垂しているように思えてならない。

とにかく、視界が塞がっていて歩くときに危ないので、早速治療することに。
☑現病歴 いつからかよくわからない。
☑愁訴 夜間頻尿。
☑経絡腹診 肺脾虚、心肝実、腎平。
☑脉状診 浮、数、実。
☑比較脉診 肺脾虚、心肝実、腎平。
☑証決定 肺虚証。
☑適応側の判定 気を引き上げるため左。
☑本治法 目やに涙を逆気泄と診て合水穴を選穴。
左尺沢、左陰陵泉を補い、左尺中浮かして膀胱の脉位に浮いてきた実邪を、患側の右膀胱経を切経して最も邪の客している右飛陽から浮実に応ずる瀉法。
☑補助療法
宮脇奇経治療。右陥谷-右合谷に5壮-3壮で知熱灸。
足陽明脉の奇経腹診
手陽明脉の奇経腹診
☑標治法 左右を比べて圧痛の強かった
臂臑に知熱灸7壮。
☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
☑経過 治療後、右目が開く。
☑反省と考察 瞼は肌肉で脾の主りということから、眼瞼下垂は脾虚と言われていますが、肺虚もあります。
瞼は総じて脾胃ですが、上眼瞼は足の太陽膀胱経、下眼瞼は足の陽明胃経に一応分類されます。
目やには湿熱です。 
奇経は陥谷-合谷か合谷-陥谷か公孫-内関か内関-公孫が多いです。
大腸経には目に効くツボが軒並み並んでいますが、こういう場合には臂臑が有効です。

例.
  1. 沢田流二間 麦粒種。
  2. 沢田流合谷 目の充血。
  3. 合谷 眼病全般。
  4. 偏歴 眼病全般。
  5. 臂臑 眼瞼下垂、目やに、緑内障。
☑患者 50代男性。
☑主訴 右足肉離れ。
☑現病歴 野球の試合中に負傷。大腿後面~内側にかけて痛い。患部を見ると腫れてバンバンに熱感があり、内出血している。右足を引きずって歩いてる。
☑経絡腹診 肝腎虚、肺脾実、心平。
☑脉状診 浮、数、虚。
☑比較脉診 肝腎虚、肺脾実、心平。
☑証決定 肝虚脾実証。
☑適応側の判定 病症が右側に偏っているので左。
☑本治法 左曲泉、左陰谷を補い、右関上沈めて脾の脉位に触れる虚性の邪に対して患側の右脾経を切経して最も邪気実の客している右陰陵泉より堅に応ずる補中の瀉法。
⏩普通に歩けるようになる。
☑補助療法 
✅宮脇奇経治療 宮脇奇経腹診®より、督脉+陽維脉と診断。患側の後谿-申脈+外関-臨宮に知熱灸5壮-3壮で奇経灸して金銀粒を貼付。
⏩痛みが軽減。
督脉と陽維脉の奇経腹診。
詳しくは↓
☑標治法 
✅炎症をひかす鍼 腫れている皮膚と正常な皮膚の境目を確認し、腫れている皮膚から正常な皮膚へ向けて、つまり実から虚へ向けて斜刺で等間隔に補鍼。
⏩熱感、痛みがさらに軽減。
✅八卦皮内鍼法 全体的な痛みが部分的な痛みに集約されてきたところで、最圧痛点を検出し、最も鎮痛できる方向から皮内鍼を貼付してその上から知熱灸3壮。
⏩さらに痛みが軽減。
☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
☑経過 痛みがかなり和らぎ普通に歩いて治療室を出られた。
☑反省と考察 肉離れこそ本治法で生命力の強化です。
最短で治ろうしてくれます。
炎症を引かせることが大事ですが、アイシングだけだと、内出血が冷え固まって“あの病理産物”を形成します。

そう、瘀血です。
これがあると治りが悪くなるだけでなく、後々悪さします。
最低でも肉離れ癖がつきます。
効果的な補助療法や標治法を加えてより早期回復をはかります。

今回はやってませんが、最も効果的なのは刺絡です。
一経変動なら子午治療、二経変動以上なら奇経治療で空間的にアプローチします。
局所の治療も大事です。
ポイントは患部から健康部へ向けて刺鍼することです。
患部へむけると、実をより実しめてしまいます。
熱感腫脹は実です。
実から虚へ促すことで炎症がひきます。
お灸で取り巻いても構いません。
おわりに
2020年東京五輪、2021年関西ワールドマスターズにむけて、参考にしていただければ幸いです。
せっかく世界中からたくさんの素晴らしいアスリートが来日されます。
是非来たときよりも元気になって帰っていただきましょう!
時短で効かせられる子午治療や奇経治療は、スポーツイベントとの相性が抜群です。
オリンピック関係各位のみなさま、是非選手村でケアされる鍼灸師の先生方に特化した講習会を開催していただけないでしょうか?私どもでよろしければ喜んで講師をお引き受けさせていただきます。
もちろん、持っているものを全て包み隠さず技術指導に当たらせていただく所存です。
ご依頼をお待ちしております。
症例
☑患者 小学1年生の女子児童。
☑主訴 音声チック。
☑現病歴 数か月前から、「んぐっんぐっ、ガッガッガッ。」という音を喉で鳴らすようになる。
最初は痰が絡んでいるのを出そうとして咳払いをしていると思い、「風邪かな?」「喘息かな?」ということで、小児科や呼吸器の専門病院を受診するもよくならず、原因もわからない。
日に日に喉を鳴らす仕草が頻回になり、2~3秒に1度喉を鳴らす。
そうしてこの程ようやく、これが音声チックだとわかる。 

☑愁訴 特になし。
☑経絡腹診 肺脾虚、心肝実、腎平。
☑脉状診 浮、数、虚でやや硬い。
☑比較脉診 肺脾虚、心肝実、腎平。
☑証決定 肺虚肝実証。
☑適応側の判定 女の子なので右。
☑本治法 中野てい鍼小里モデル55㍉の尻尾の方を右太淵に当て、五行程補い、垂直に徐に鍼を抜き上げ、左右圧もかけず鍼口も塞がないてい鍼の補法の手技を行う。
右太白にも同様の手技。
左関上沈めて肝の脉位に触れる邪気実に対して、左肝経を切経して最も邪の客している左中封を、てい鍼の頭の方で経に対して垂直に横切るようにサッサッサッ(神・氣・精)と3回瀉法。

☑補助療法
✅子午治療 左右の人迎を押さえて圧痛を確認すると、右の方が痛いと教えてくれたので、反対側の肝経の蠡溝をてい鍼で補う。
施鍼後、人迎の圧痛を確認すると、「痛くない」とのことなので、止め灸として無熱灸14壮して、効果を持続させるために金粒を貼付。

☑標治法 全身に気を巡らすように
  1. 頭、後頚部、肩上部は瀉的に
  2. 背中鎖骨、胸は補的に
  3. お腹は時計回りで補的に
小児はり。
時間にして全部で30秒くらい。

☑止め鍼(疳虫は合谷、発熱児は後谿、先天性疾患は陽池に行う。) 左合谷にてい鍼の頭の方でちょこんと一鍼して治療を終える。

☑セルフケア ドライヤー灸を指導して、左蠡溝に自宅で7壮施灸するように指示。

また、次のようにお願いした。
「○○ちゃんの音声チックは一切気にしないでください。もしくは慣れてください。四六時中はたで見てると気になるでしょう、イライラもするでしょう、すごくわかります。家もそうでしたから。でも気にしないでください、慣れてください。
絶対に注意したり無理やり止めたりはしないでください。
これは無意識に出るんです。
わざとじゃありません。
本人がしんどいと言うてくる以外は何もしないでください。
もし、苦しいとか辛いと言ってきたら胸を上から下にさすってあげてください。
ご主人、ご家族の方全員に徹底してもらうように、お母さんの方からお願いします。」
☑経過 週一で治療し、段々と改善していき、数回後にはチックが治まる。
現在継続治療中。 
経絡治療からみたチックの病因病理
  • 陰<陽
チックは不随意運動です。
無意識に出る機能亢進症です。
亢進しているわけですから、陰陽でいえば陽が勝っている状態です。
陰陽をおさらいしておきましょう。

  1. 陰とは冷やす、潤す、引き締める気(働き)で、クールダウンを担当します。
  2. 陽とは温める、乾かす、発散する気(働き)で、ヒートアップを担当します。

陽が強いのは陰が弱いからです。
陰が弱っているから、冷やせずに熱をもち、潤わせられなくて乾燥し、引き締められずに上昇拡散した陽亢が、顔面を衝くから運動性チックが出現し、咽喉を衝くから音声チックが出現します。
もう少し簡単にいうと、クールダウンできないのでヒートアップして不随意運動が止まらなくなるのです。
そう、止めないのではなくて止められないのです。
  • 落差と風邪
ヒートアップすると不随意運動が亢進するのはなぜでしょう?

子供たちは好奇心の塊です。
同じくらい不安も募ります。
好奇心と不安の落差です。

自然界でいうところの低気圧と高気圧です。
乱高下すると台風が発生します。

人体でも好奇心と不安感の落差によって台風が生じます。
これを「風邪」とします。

風邪は陽邪ですから、上昇拡散します。
また風は揺れ動きます。
頭顔面部や咽喉が不随意運動をするわけです。
さらに遊走性によって次々と場所を変えて不随意運動を繰り返します。目をパチパチさせる→鼻を動かす→口を動かす等。
  • 肝は魂を宿し無意識を主る
五臓の立場から見ると、心と肝は陽です。
心火か肝火によって陽亢します。
心は神を宿します。
肝は魂を宿します。
神は自意識を主ります。
魂は無意識を主ります。
不随意運動ですから、無意識を主る魂を宿す肝に火がついて火事になっているけど、肝腎の消火する水がないわけです。
火は陽です。
水は陰です。
陰虚陽実で肝陽が亢進しているのがチックです。
  • 病因病理
肝陽を如何に慎めるかです。
肝火を鎮火できるかです。
肝気の突き上げを抑えるかです。

  1. 肝虚証 肝陽が亢進するのは肝陰が不足しているからです。あるいは肝火が肝血を焼き払うからです。肝陰肝血を補います。
  2. 腎虚証 肝陰は腎陰に依存しています。肝血は腎水に依存しています。精血同源、肝腎同源です。腎陰腎精が不足すれば肝陰肝血も不足、肝陽肝気が亢進して肝火が燃え盛ります。あるいは肝火が腎水を焼き払います。難経によろしく75難というやつです。腎陰腎精を補います。
  3. 脾虚証 肝火は同じ中焦に在る脾に横逆し脾の津液を焼き払います。脾を補います。
  4. 肺虚証 肝気は昇り肺気は降ります。そうして気機の昇降運動を担いバランスを保っています。肝気が上焦の肺を襲うと肺気が降りれなくなります。あるいは肺気が不足すると肝気の突き上げを抑えることができなくなります。肺を補います。
  5. 心虚証 発生学より地二火を生じます。火は陽なので上に昇って膻中に玉座します。火だけだと燃え盛りすぎて火事になるので元々水が存在します。これを心陰とか心血とします。肝火が上昇して上焦の心に襲いかかると心火に着火して、心陰心血を焼き払います。心肝火旺です。心陰心血を補います。
    治療
    • 本治法
    五臓を原とする主たる変動経絡の虚実を弁え補瀉調整します。
    • 補助療法
    子午治療 チックが起こっている患部の流注より子午陰陽関係に当たる経絡を使います。
    本症例でしたら音声チックで咽喉部なので、小腸経か大腸経ですので、子午陰陽関係に当たる肝経か腎経を使いました。
    運動チックなら、ピクピクしている患部の流注から子午陰陽関係に当たる経絡を割り出してください。

    健康側の絡穴を使います。
    絡穴で取れないときは、原穴、郄穴を使います。

    大人なら比較的太目の鍼で補います。
    1. ​金鍼30番
    2. 中国鍼
    3. 古代鍼
    小児はてい鍼で十分です。

    止め灸をします。
    1. 普通に施灸するなら10壮
    2. 知熱灸なら5~7壮
    3. 無熱灸なら10~14壮
    4. セルフケアにドライヤー灸なら5~7壮
    効果を持続させるために金粒または銀粒を貼ります。
    • 標治法
    全身に気を巡らすように小児はりをします。
    各自のやり方でいいと思います。
    • 止め鍼
    脉診流経絡治療では、最後にドーゼの多少を調節するために、本治法の適応側と反対側にてい鍼の頭の方でちょこんと一鍼止め鍼をします。
    1. ​疳虫は合谷
    2. 発熱は後谿
    3. 先天性疾患は陽池
    誤治反応を最小限にし、正治ならば治療効果が上がります。

    終わりに
    案外チックのお子さんが見えられます。
    今回は音声チックでしたが、運動チックから、複雑怪奇なものまで、結構やらせていただきました。
    大人は難しいですが、子供はよく治ります。
    「小児七歳神童也.神之守.」と道書にある通りです。

    ご家族や周りの方々の協力が必要です。
    1. ​気にしない
    2. 慣れる
    これを周知徹底していただきます。

    親御さんはまだ手なずけやすいです。
    問題は、ばーばとじーじです。
    この人たちが難敵です。

    間に挟まれるお嫁さんのケアも時には必要です。
    それでなくても四六時中子供さんと一緒にいるわけですから、チックをずっと見て聞いていると、精神がおかしくなってくるようです。

    これもわかってあげる必要があります。
    だって人間ですから。
    1.つま先~足先のしびれ
    腰陽関の外方の圧痛硬結に刺鍼。
    2.下肢後面~つま先のしびれ
    尾骨の外方の圧痛硬結に刺鍼。
    3.下肢外側のしびれ
    仙腸関節の曲がり角の圧痛硬結に刺鍼。
    手技手法
    1. 用鍼はステンレス1寸3分1番鍼。
    2. 刺鍼ポイントを取穴して、先ずは切皮し、それ以上は刺さずにしびれが変化したかを患者に確認する。
    3. 変化したらそれ以上は刺さずにその深さを限度として置鍼する。
    4. 変化しなければ鍼を刺入して進める。刺入深度は抵抗まで。鍼尖が抵抗に当たるのを度として刺入を止める。
    5. しびれが変化したかを確認する。変かしたらそれ以上は刺さずにその深さを限度として置鍼する。
    6. 変化しなければ上記を繰り返す。
    7. 深さが合えばしびれは変化する。
    適応疾患
    • 脊柱管狭窄症
    • 腰椎すべり症
    • 椎間板ヘルニア
    • 閉塞性下肢動脈硬化症
    • 糖尿病性神経症
    • 抗がん剤の副作用による末梢神経障害
    実技動画
    つま先~足先のしびれの症例を収録しています。
    ご覧になってください。
    抗がん剤の副作用による末梢神経障害の鍼灸治療
    一般社団法人東洋はり医学会関西名誉会長宮脇優輝先生が、当会7月例会の臨床こぼれ話にて、抗がん剤の副作用による末梢神経障害の症例を話されました。

    議論に非ず実行ということで、早速臨床追試したところ、次々と効果がみられました。

    宮脇先生ありがとうございます。
    治療の仕方
    しびれている箇所の皮膚としびれていない箇所の皮膚をよく観察すると、正常な皮膚には生理的な皺や指紋があるのに対して、しびれている箇所の皮膚は、
    • ​皺や指紋がない。
    • テカっている。​
    • 肥厚している。
    • 熱感がある。
    等の異常な触覚所見を呈しています。
    その異常な皮膚のど真ん中であったり、正常な皮膚と異常な皮膚との境界線に施灸します。

    筆者は1ヶ所につき1~3壮、知熱灸をします。
    施灸すると皮膚の感じが正常に近づきます。
    そうであれば予後は良です。
    治療回数を重ねていく度にしびれが取れていきます。​

    詳しくは実際の症例とあわせて動画をご覧ください。
    本治法の大事
    ここにご紹介させていただいた治療法は、経絡治療の標治法です。

    病を治するには本を求むということで、何といっても本治法による生命力の強化が本筋です。
    診察診断
    先ず舌診します。
    この病の患者さんは必ず舌歪します。

    舌歪した側と反対側の公孫-内関か内関-公孫に奇経テスターを貼ります。

    衝脉か陰維脉かは宮脇奇経腹診®で鑑別します。

    鑑別した奇経にテスターを貼ってもう一度舌診すると、即座に真っ直ぐに改善されます。

    これをもって正解とします。

    概要は動画をご覧になってください。
    治療
    1. 奇経灸
    2. 金銀粒貼付
    普通の艾で施灸する場合は主穴に5壮、従穴に3壮か3壮-2壮。
    筆者は知熱灸で5壮-3壮、お灸が怖い患者や小児には無熱灸で10壮-6壮します。

    主穴に金粒、従穴に銀粒を貼付します。

    実際の治療は以下の動画をご覧になってください。
    セルフケア
    自宅で金銀粒を貼付し、貼り替えてもらいます。
    その上からドライヤー灸を5壮-3壮で朝昼晩、朝晩施灸していただきます。

    ドライヤー灸のやり方は以下の動画をご覧になってください。
    予後
    このような治療を重ねると段々と症状がよくなってきます。
    適応疾患
    • 失語症
    • 高次脳機能障害
    • 言語発達障害
    • 誤嚥性肺炎
    舌の東洋医学
    以前に投稿した記事をご覧になってください。
    症例 治療1回目(8/31朝)
    ☑患者 中1の長男。
    ☑主訴 発熱、頭痛、体が熱い、しんどい。
    ☑現病歴 早朝、息子がハアハア言いながら起きてきたので、何事かとリビングに行くと、熱が高くしんどいとのこと。
    検温すると39度ある。
    なくほどしんどい、頭痛は前額部と頭頂部、とにかく体が熱い熱いと言っている。
    無汗。
    ☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑脉状診 浮、数、実。
    ☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑証決定 腎虚証。
    ☑適応側の判定 病症に偏りなく男の子なので左。
    ☑本治法 銀1寸3分1番鍼で左太谿を補う。右関上浮かして胃の脉位に浮いた虚性の邪を脉位の右胃経を切経して最も邪気実が客している上巨虚から堅に応ずる補中の瀉法。
    ☑標治法
    • 水かきの鍼
    適応側と反対の右側から左側の順に両手の水かきの部に瀉的に刺鍼。
    • 散鍼
    全身に気を巡らせるように散鍼。
    後頚部~肩背部には瀉的に散鍼。
    ☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
    治療2回目(8/31お昼)
    ☑経過 少し元気になっている。38度。頭痛はなし。汗はまだかかない。
    ☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑脉状診 浮、数、実。硬さがマシ。
    ☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑証決定 脉証腹証一貫性より腎虚証。
    ☑適応側の判定 左。
    ☑本治法 太谿を補う。
    ☑標治法 両手に水かきの鍼、全身に散鍼。
    ☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
    治療3回目(8/31夜)
    ☑経過 座ってられるようになったり、横にならなずにおれるようになったが、夜になってまた熱が上がってきた、額と頭頂に頭痛がある。
    ☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑脉状診 浮、数、実。昼より締まりがあって輪郭がある。
    ☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑証決定 腎虚証。
    ☑適応側の判定 左。
    ☑本治法 左太谿に補法。右上巨虚に枯に応ずる補中の瀉法。
    ☑補助療法 
    • 宮脇奇経治療 前額部痛に右陥谷-右合谷、頭頂部痛に左太衝-左通里に主穴に5壮、従穴に3壮知熱灸×金銀粒貼付。
    ☑標治法 水かきの鍼×散鍼。
    ☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
    ☑治療後 頭痛消失。ようやく汗をかきだした。
    治療4回目(翌9/1の夜)
    ☑経過 今朝37度に下がる。1日を通じて楽に過ごせた。夜になってまた38度にあがってきたが、体が熱いだけでしんどさはない。
    ☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑脉状診 浮、数、やや実。ずいぶんと硬さがとれ柔らかくなっている。
    ☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。
    ☑証決定 腎虚証。
    ☑適応側の判定 左。
    ☑本治法 左太谿に補法。右上巨虚に枯に応ずる補中の瀉法。
    ☑標治法 水かきの鍼。3~4指間からやや出血。こういうのはいい兆候。出るものは出す。全身に散鍼。
    ☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。
    ☑治療後、即座に37度3分まで下がる。
    ☑経過 今朝(9/2)36度4分、解熱、治癒。 
    急性発熱の病因病理
    以前に投稿した記事をご覧になってください。
    消炎鎮痛解熱剤×抗生剤を使う?使わない?
    今回は病院に行ってないのでわかりませんが、例えば風邪だとしたら、洋薬は使わない方がよろしいでしょう。
    抗生剤は風邪にはほとんど無効ですし、解熱剤や消炎鎮痛剤を使うと治りが悪くなるからです。
    消炎鎮痛解熱剤は、急性発熱時に現れる痛み・発赤・腫脹・熱感を和らげてくれますが逆に治る時期を遅らせます。
    先ず、発熱の意義ですが、
    1. 病原体は高温下ではその複製が抑制されるか死滅する。
    2. 免疫担当細胞は高温の方が活性化する。
    ということで、発熱は感染に対抗するための生体反応です。
    そしてさらに、
    1. 痛みは警告反応と過度な動きの制限。
    2. 発赤は血液が集まって代謝を促進
    3. 腫脹は白血球やリンパ球が集まって感染を防ぐ。
    4. 熱感は免疫力を高めるめに発熱している。
    ということで、炎症反応は障害部位を守り治す反応なのです。
    ですので、消炎鎮痛解熱剤は炎症を抑えて痛み・発赤・腫脹・熱感を軽減し、苦痛を和らげてくれますが、それと引き換えに直接の治す反応(炎症)を抑えるので症状は軽減するが治るのは遅くなる(問題の先送り)ということになります。

    詳しくは、以前に投稿した記事の後半にまとめてありますのでご覧になってください。
    注意事項
    とはいえ、こらアカンと思ったら病院に行きましょう。
    ある程度技術がないと全く効きません。
    臨床経験の浅い方も無理せず病院に行きましょう。
    次に該当する場合も病院を受診してお薬をいただいてください。
    消炎鎮痛(解熱)剤の適応
    1. 痛みや炎症が生活に差し障るほど激しい場合。→激しい痛みが持続すると脳の可逆性に問題が起きる。
    2. 大事な要件があり、高熱や痛みにより適えることが難しい場合(EX.子供の結婚式、大事な契約 etc.)
    3. 持続する痛みや高熱により食事が摂れなくなり、体力が著しく落ちた場合 etc.
    4. 慢性疼痛で痛みの悪循環を断つ。
    胃腸の熱です。
    経絡治療の生みの親、井上恵理先生は小腸の熱と仰っています。
    内向すると心の熱になります。
    ベーチェット病です。
    脾虚で胃小腸の邪気実か、腎虚で心小腸の邪気実が多いです。
    奇経治療
    患側の内関-公孫か公孫-内関です。
    鑑別は宮脇奇経腹診®がわかりやすいです。

    陰維脉の腹証

    衝脉の腹証

    奇経腹診に興味のある方は、よくわかる奇経治療 (第2版) | 宮脇和登 著 ○B5判/150頁を熟読してください。 
    わかりにくければ、実際にテスターを貼って、どちらの奇経で痛みが楽になるかを患者さんに聞きます。
    治療は主穴に5壮、従穴に3壮知熱灸。
    そして金銀粒を貼付します。
    手五里
    患側に取ります。
    知熱灸3~5壮します。
    支正
    古医書に小腸経が虚すとイボができるとありますが、口内炎も口の中にできたイボと考えます。
    虚した側の支正に知熱灸10壮します。
    あるいは皮内鍼をとめます。
    下風池
    いかなる顔面部の疾患も、必ず後頚部が凝っています。
    特に影響力があるのが下風池です。
    こだわらずに、天柱、風池など、分界項線上の凝りが取れるように治療します。
    局所
    口を開口させて、あるいは唇をめくらせて、口内炎に直接糸状灸を1壮します。
    井穴刺絡
    酷く痛むものには、少沢から刺絡します。
    抜群に効きます。
    瞼の症状は脾の変動ですから脾虚か脾実です。
    陽明経から邪気実を瀉します。
    沢田流合谷
    患側に取ります。
    知熱灸10壮します。
    根結治療
    めばちこが、
    1. 瞳孔線上にできていれば厲兌か中央厲兌をてい鍼で補います。
    2. 外側にできていれば足竅陰をてい鍼で補います。
    3. 内側にできていれば至陰をてい鍼で補います。
    霊枢・根結篇より
    目の周囲のツボ
    攅竹、眉上陽白、睛明、承泣、太陽を補います。
    局所
    めばちこに直接糸状灸を1壮します。
    瀉的なお灸です。
    これが一番効きます。
    涙で意外と熱くありません。
    実際に施灸している動画は以下のリンクからご覧いただけます。
    また、瞼の上から裏のコロコロして腫れている位置を確認し、コロコロの周囲を等間隔で取り巻くように、あるいは東西南北で囲むように瞼の上から補鍼すると小さくなります。