鍼灸師ができる理学検査

出端昭男先生は、その著書『鍼灸臨床 問診・診察ハンドブック』の序文にて、

「本書は鍼灸臨床において最も高頻度に扱われる腰痛、坐骨神経痛、膝関節痛、頚・上肢痛、五十肩の5疾患を対象に、問診および診察手技に関する具体的な方法を解説し、さらには起因疾患の概念や類症鑑別についても若干の考察を加えた。

 鍼灸術には伝統的な望・聞・問・切と呼ばれる診察法があり、また、それ以外にも今日では良導絡、奇経療法、中国鍼など実にさまざまな治療システムが存在しており、そしてそれらの療法を行うために必要とされる独特な診察法も数多く考案されている。

 しかし本書において紹介しようとする診察法は、このような各流派の、いわば「治療のための診察法」なのではなく、もっと幅広く鍼灸臨床全体の中で共有されるべき診察法として位置づけられるものである。それは目的においても臨床的意義においても、「治療のための診察法」とは今般的に異なった視点から評価されるべき診察法ということができよう。

 つまりそれは、鍼灸の適応を判定し、予後を推定し、病態を認識し、さらなる鍼灸臨床を進めながら疾病の経過をできる限り客観的に観察し、行われた治療の効果をより正しく評価しようという目的を内包するものである。

 しかし実際には、以上の目的のために、どのような診察法を採用するのが最も妥当であるかということになると、今直ちに明確な理論を下すのは困難な状況にあるといわなければならない。それは、鍼灸院に来院する患者の疾病の実態がどのようなものでり、またその重症度がどの程度のものであるか、私たちは今日その正確な現状を把握していないからである。」

と、明確に鍼灸師のウィークポイトと、現在における他職種連携での問題点を先見の明を持って述べられています。

出端先生のお考えに薫陶を受け、このページを設けました。

流派を問わず、職種を問わず、“共通のモノサシ”を用いて鑑別と評価ができ、同じ土俵で会話をできることが、これからの鍼灸師には必須のスキルです。

そして、理学検査を毎回行うことで、患者と共に治療効果を確認でき、患者説得にも有意義となることでしょう。

講師紹介

学校法人 森ノ宮医療学園専門学校 鍼灸学科 講師 

南方 克之 先生

鍼灸師/柔道整復師/博士(医学)

学校法人 森ノ宮医療学園専門学校 鍼灸学科 講師 

向井 陽子 先生

鍼灸師/向井鍼灸院院長

《深部反射》

上腕二頭筋反射(C5・C6)

肘をつかみ、肘窩の少し上の上腕二頭筋腱上に母指を置き、その母指を叩打したときに、上腕二頭筋が収縮して肘が曲がるかどうかをみる。反射が出にくいときは、前腕に重力がかからないように上肢を下垂して行う。

上腕三頭筋反射(C6~C8)

前腕を軽くつかみ肘関節をほぼ直角に曲げるか、上腕をつかみ後方に引き、肘頭のすぐ上の上腕三頭筋腱を叩打し、三頭筋が収縮して肘が進展するかどうかをみる。

腕橈骨筋反射(C5・C6)

膝蓋腱反射(L2~L4)

膝蓋骨の下方の膝蓋靭帯を叩打したときに、大腿四頭筋の収縮による膝の伸展が起こるかどうかをみる。

アキレス腱反射(S1・S2)

《病的反射》

ホフマン反射

バビンスキー反射

《頚腕症候群》

ジャクソン

スパーリング

ライト

エデン

アドソン

《肩関節痛・五十肩(疼痛性関節制動症)》

ストレッチ

スピード

ヤーガソン

ペインフルアーク

ドロップアーム

拘縮

ROM

《腰痛》

SLR

FNS

ニュートン

パトリック

Kボンネット

《膝関節痛》

前方引き出し・後方押し込み

ベーラー

マックマレー

アプレー

膝蓋跳動

膝蓋骨圧迫

ROM

参考文献

出端昭男:鍼灸臨床 問診・診察ハンドブック 初版22刷.株式会社医道の日本社,2013年11月15日.

松本 勅:現代鍼灸臨床の実際 改訂版2版.医師薬出版株式会社,2009.


痛くなく 熱くなく こわくなく 人にやさしく