五臓全てに虚実あり!


経絡治療の世界では、「心に虚なし腎に実なし」と言われていますが、臨床的には「五臓全てに虚実あり」として診た方が適応範囲が広がります。
心虚はあります。
うつ病は心虚が多いです。
古医書に「喜びは憂いに勝つ」として、憂い大過でこころを痛めている患者は心虚で治療しますとあります。
心は君主の官神明出ず、心包は臣使の官喜楽出ずですから、心包経を補って喜びを与えます。
より陽的な左の大陵を使います。
気の変化の患者ですからてい鍼を用います。
腎実はあります。
段差でつまずいたり、最近転びやすくなったなどという症状は足腰の弱りでいわゆる痿病で腎虚で治療する場合がありますが、中に気が下がって足が重たくなって挙がらない患者がいます。
このような患者の腎を補うと益々気が下がって余計に転びやすくなります。
腎実だからで、難経にあるように実を益々実しさせるとついには歩くのが困難な状態に陥ることさえあります。

症例を上げますが、40代の男性患者、腰や膝が悪くないのに一度座ると中々立ち上がれないという症状で来院。
脉を診ると左尺中腎の脉が凄く実になっている。
お腹を確認しても腎の診所が堅く張っていて按じて堅牢である。
脾虚腎実証として、脾と心包を補って腎経を切経して最も邪が客している水泉から浮実に応じる瀉法の手技で瀉して経過良好、引き続き継続治療中です。

このように、心虚も腎実もあります。
特に気を付けなければならないのは、陰経だからと躊躇して邪があるにも関わらずに放置しておくと、内臓の気質的な編成をきたしてくる危険性があります。
がんもその1つです。

これを回避するには、補すべきときには補し、瀉すべきときには瀉せるように、補瀉の技術を研くのが最善策です。

ONE

鍼灸にはあらゆる流派や様式が在ります。 この多様性が日本鍼灸の優秀性のひとつだと感じています。 各流派に優劣は在りません。 それぞれに素晴らしい学術があり、互いに切磋琢磨する間柄です。 流派は違えど、患者を病苦から救うという同じ使命を持った鍼灸師に違いはありません。 元々1つです。 互いを認め高めあい、上工に成れるように、願いを込めてこの名前を付けました。 どうぞ、よろしくお願いします。