中耳炎の鍼灸治療

夜中、娘が急に泣いて起きてた。
左耳を押さえて「耳が痛い(ToT)耳が痛い(ToT)」と泣きわめいている。
少し熱もある。
様子から中耳炎のようである。

診察

【腹診】大腹>小腹。腎最も虚、肺次いで虚、脾最も実、心次いで実、肝平。
【脉状診】浮・数・実。
【比較脉診】5歳児なのでよく分からない。
【証決定】腎虚証。
【適応側】女の子で左耳の痛みだから本来は健康側である右側を取るが、首から上は同側の陰経が影響するのと、気を降下(火)したかったので敢えて左側とした。

治療

【本治法】
顔面部には兪土原穴が影響するので、左太谿に中野式小里てい鍼の尻尾を当てて五行程補う。
画像では肝経の穴を例に挙げていますが要穴に変換してください。

これで脉状が変化したので本治法を終える。

定石通りであれば、腎虚を治療するときは母経である肺経も補いますが、発熱しているときに肺経を補うと余計に熱が高くなるので発熱児の場合は肺経は触らないようにしています。
駆け出しの頃はこれが分かってなくてよく失敗しました。

【補助療法】
左照海-右列缺+左陥谷-左合谷にテスターを貼って具合を問うと痛みが和らぐとのことなので主穴に金粒、従穴に銀粒を貼付してその上からドライヤー灸で主穴に5壮、従穴に3壮奇経灸。

耳疾は、痛みが伴えば陽明経、痛みが伴わなければ少陽経の変動です。
【標治法】
■耳前三穴を軽く押さえていくと聴会が一番痛いのでてい鍼で補鍼。
■耳周りの熱感や硬結を目当てに探ると、翳風(えいふう:TE17)と耳下~下顎の間に反応があるので同じく補鍼。
押さえて痛いのは中が実です。ということは表面は虚です。これを外虚内実とします。考え方としては中の実を直接瀉してもいいし表面の虚を補って中の実を中和さしてもいいわけで、先ずは外虚を補って取れれば一番負担がありません。もちろん取れなければ内実を瀉します。治療は無難な方から探りを入れながらやるのが危なげないです。
孫子の兵法です。

■後は全身に気を巡らすようにサササッと小児はり。
■最後に右後谿にちょこんと止め鍼をして終了。

泣き方が幾分かマシになったので就寝。
【経過】
朝起きてくると痛みはないらしい。
妻に一応耳鼻科に行くように言って出勤。
診察の結果は中等度の中耳炎。
抗生剤が合うかどうかは飲んでみないと分からないので3日後にまた来てくださいとのこと。
痛みはもうないらしいですが、穴が開いては困るので治りきるまで鍼灸治療をした結果(翌日も治療)、すっかりよくなって元気に遊びまわってます(*^^*)
家族の不調を癒す度に鍼灸師に成ってよかったなと思います。
自分の周りの大切な人たちを救える喜びは何事にも代えられません。
耳の臓象については以下を参照してください。

ONE

鍼灸にはあらゆる流派や様式が在ります。 この多様性が日本鍼灸の優秀性のひとつだと感じています。 各流派に優劣は在りません。 それぞれに素晴らしい学術があり、互いに切磋琢磨する間柄です。 流派は違えど、患者を病苦から救うという同じ使命を持った鍼灸師に違いはありません。 元々1つです。 互いを認め高めあい、上工に成れるように、願いを込めてこの名前を付けました。 どうぞ、よろしくお願いします。