古野式 経絡骨盤調整療法

古野式 経絡骨盤調整療法(ふるのしきけいらくこつばんちょうせいりょうほう)とは、(一社)東洋はり医学会関西相談役(監事)を務める古野忠光先生が、鼠径部を中心とする経絡上の滞りと病気の関係に着目し、古典的理論と臨床実践によって確立された特殊鍼法です。
これにより、十二経絡の病症は全て鼠径部を中心とする経絡上で調整することが可能となり、ここにまた1つ新しい全身調整療法が誕生しました。
◎なぜ十二経絡の病症は全て鼠径部を中心とする経絡上で調整することが可能なのか?

①気街
古医書に六腑の気の集まる道筋である六腑の気街を知る者は、営衛の気が滞って邪気が集まり固まった部位を緩めて通りをよくすることができるとあります。
気街とは胸と腹と頭と脛で、ここに六腑の気が集まる道筋があります。
そのうち、気街の脛に邪気があるときは気衝を取穴せよと書かれています。
脛とは膝から踝までの間の部分ですから気衝で膝痛や足関節捻挫を治療できます。
それだけでく気衝は様々な経絡系統と結びつく交会穴です。
そのような関連性から、気衝を含む鼠径部を中心とする経絡上の滞りを解消すれば、脛だけでなく他の胸や腹や頭の気街を始め全身を調整できることが分かりました。

②共軛関係・表裏共軛関係
直接鼠径部を巡っていない経絡があるにも関わらず十二経絡を調整することができるのは、共軛関係(きょうやくかんけい)・表裏共軛関係(ひょうりきょうやくかんけい)という特殊なルートが存在するからです。
共軛とは働きの似通ったという意味です。

■共軛関係
□手足太陰経 肺経と脾経
□手足厥陰経 心包経と肝経
□手足少陰経 心経と腎経 
□手足陽明経 大腸経と胃経
□手足少陽経 三焦経と胆経
□手足太陽経 小腸経と膀胱経
■表裏共軛関係
□手太陰経と足陽明経 肺経と胃経
□足太陰経と手陽明経 脾経と大腸経
□手厥陰経と足少陽経 心包経と胆経
□足厥陰経と手少陽経 肝経と三焦経
□手少陰経と足太陽経 心経と膀胱経
□足少陰経と手太陽経 腎経と小腸経

ということで同じ三陰三陽に属する経絡は働きが似通っています。
また共軛関係の表裏経とも似通っています。
これを応用すると、手足三陰経(太陰経・厥陰経・少陰経)のうち、足の三陰経(脾経・肝経・腎経)は鼠径部を流注し、手の三陰経(肺経・心包経・心経)は直接鼠径部を流注していませんが、五十肩で肩髃よりも内側の肺経ラインの痛みに対して骨盤を流注する経絡に治療点を求めると、同じ太陰経のくくりであり共軛関係である脾経の衝門や府舎に反応が出ています。
これらの経穴に接触程度の極々軽微な刺鍼を施し滞りを流してあげると、肩の痛みが軽減します。
あるいは耳鳴りは三焦経の病症ですが、共軛関係の胆経や表裏共軛関係の肝経の反応を鼠径部周辺に求めて治療をすることができます。

わざわざ鼠径部を中心とする経絡を調整する理由は、前述した①の気街という理論以外に以下も大きな理由です。

■少陽枢機
人体の三陰三陽には、それぞれ「開(かい)・闔(ごう)・枢(すう)」という働きがあります。
戸扉でいうと、開は開ける、闔は閉める、枢は開け閉めを調節する軸の働きです。
開は太陽経、闔は陽明経、枢は少陽経が司ります。
鼠径部は枢の働きを持つ少陽経に属します。
これを少陽枢機とします。
また太陽経は人体における後面を、陽明経は前面を、少陽経は前後の境界線である側面を司ります。
戸扉を開けたり閉めたりするためには軸がなければ動けないように、少陽枢機が正常であれば太陽経と陽明経の交流がスムーズに行われ気血が順調に巡り人体のあらゆる細胞・組織・器官・臓腑経絡・四肢・百骸を潤し養い活動力を与え生命力を鼓舞します。
逆に鼠径部を流注する経絡に滞りがあるために少陽枢機の働きが悪くなると、戸扉の軸が壊れて開けたり閉めたりするのがスムーズでなくなるのと同じように、前後の陽明経と太陽経の交流もスムーズにいかなくなります。
その結果、気の作用(推動・温煦・防御・固摂・気化)が失調すると生命力の低下を招き、内外の病邪に傷られやすくなり発病に至ります。

私たちが健康的に生理活動を行うためには、気の昇降出入運動は絶えず順調でなければなりません。
前後の陽明と太陽の気の交流の橋渡しを担う横の少陽枢機の働きがとても大切です。
経絡骨盤調整療法は、少陽枢機の故障の原因である鼠径部を中心とする経絡の滞りを解消して少陽枢機を修復することができ、十二経の病症を全て調整することができます。
◎適応疾患

■十二経の全ての病症
□下焦
婦人科疾患、前立腺肥大、腰痛、坐骨神経痛、下肢のシビレ痛み・屈伸不利、膝痛、足関節捻挫、外反母趾、足裏の痛み、踵の痛み、水虫、しもやけetc.
□中焦
消化器疾患、肋間神経痛、背部痛etc.
□上焦
頚腕症候群、頸椎症、寝違い、肩こり、頭痛、顔面神経麻痺、五十肩、肘痛、手のシビレ、腱鞘炎、弾発指、バネ指、花粉症、鼻炎、副鼻腔炎、眼疾etc.

また、不妊鍼灸においては卵管のつまりを改善する効果が期待されています。
動画をご覧になっていただいたように、特別難しいことは何一つされていません。
真面目に取り組めば誰でも習得可能な技術です。
是非、経絡骨盤調整療法を習得して住まいの地域で患者さんの健康保持増進に役立ていただければと願っています。

古野先生の治療室には、Fリーグ(日本フットサルリーグ)某チームの選手たちがこぞって治療に通いつめ、この経絡骨盤調整療法によって足首の故障や膝の故障から回復に導いておられます。
2020年東京オリンピック、2021年ワールドマスターズ関西を控え、国民のスポーツへの関心が高まっていますが、スポーツ障害も経絡骨盤調整療法の適応症です。
本療法を習得して、古野先生のようにアスリートからも信頼される鍼灸師に成りましょう!

鍼灸師の鍼灸師による鍼灸師のためのOWND ONE

鍼灸にはあらゆる流派や様式が在ります。 この多様性が日本鍼灸の優秀性のひとつだと感じています。 各流派に優劣は在りません。 それぞれに素晴らしい学術があり、互いに切磋琢磨する間柄です。 流派は違えど、患者を病苦から救うという同じ使命を持った鍼灸師に違いはありません。 元々1つです。 互いを認め高めあい、上工に成れるように、願いを込めてこの名前を付けました。 どうぞ、よろしくお願いします。