アレルギー性結膜炎の鍼灸治療

◎患者 息子
■主訴 アレルギー性結膜炎による目脂、ただれ。
■現病歴 2~3日前からそれっぽいことを訴えていたが、忙しくてほったらかしていたらひどくなってきたので治療(すんません😥)。
■腹診 肺虚、脾虚、心実、肝実、腎平。
■脉状診 浮、数、実。
■比較脉診 肺虚、脾虚、心実、肝実、腎平。
■証決定 肺虚肝実証。
■適応側 病症に偏りなく男性なので左。
■本治法 
左太淵に銀1寸3分1番鍼にて補法→検脉→肺が充実。脾がまだ出てないので次いで左太白に補法→検脉→脾が充実。相剋する心と肝の実が治まったので陽経を診ると左関上浮かして胆の脉位に虚性の邪が触れるので、左右の目を見比べると右外眼角(瞳子髎)のただれがひどいので右胆経を切経して最も邪が客している懸鐘に堅に応ずる補中の瀉法→検脉→胆経の邪がとれて陰陽が整い和緩を帯びたので補助療法、標治法に移る。
■補助療法
□宮脇奇経治療 右列缺-左照海+右合谷-右陥谷に主穴に5壮、従穴に3壮で知熱灸。
施灸後、主穴に金粒、従穴に銀粒を貼付。
■標治法
□督脉を利用して清熱するために上星に瀉的に刺鍼。
□天柱、風池に瀉法。
□陽白、攅竹、晴明、承泣、太陽に瀉的散鍼。
■経過 治癒。
◎アレルギー性結膜炎の病因病理

目は肝の外候ですが、五臓配当では結膜は肺の司りです。
なので結膜炎は肺の変動です。

■肺魄
肺の働きを一言で表すと【魄(はく)】です。
魄とは肺臓に宿る神気です。
聖典『霊枢』本神篇に、「精と並びて出入するのが魄」とあります。
精とは腎臓に宿る神気ですが、これは先天(父母から与えられしもの)と後天(飲食物)の原気です。
ここで言う並びて出入する魄とは五官(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)です。
外部の情報を精神中枢に伝える体表の超高性能センサーが肺魄です。
と同時に皮毛を収斂させて内外の外敵から身を守っています。

何らかの原因で肺魄が失調するとこれらの機能が十全でなくなり、アレルゲンの侵襲を許してしまい、目に昇って発症します。

■皮毛を司る
今述べたように、肺は皮毛を司ります。
肺は五行では金に属します。
金には収斂の性質があります。
皮毛を収斂(引き締めて)して内外の外敵から身を守っています。
肺が変動(虚実が発生)すると、皮毛に影響し、内外の外敵の侵襲を許してしまいます。

■粛降を司る
肺は金性で収斂下降の気を司ります(粛降)。
一方肝は木性で発散上昇の気を司ります(疏泄)。
肺気の粛降と肝気の疏泄(昇発)の絶妙なバランスによって人体の気の昇降運動がなされています。
肺気が降りれなくなると肝気の昇発が過度になり肝火が亢ぶります。
あるいは心火と相まって、心肝の火旺が上焦を衝くと様々なアレルギー症状を発症します。

■気虚
肺は気を蔵します。
この気をエネルゲンにして相傅の官として治節を発揮します。
気が不足すると気虚を招きます。
気が不足する最大の原因は気の使い過ぎです。

■気滞
気が不足しても気が滞るし、抑圧がかかれば気が滞ります。
ストレスや執着心ですね。

■治療
肺の変動ということは肺虚か肺実です。
これを見極めて、つまり虚実を弁えて補瀉調整し、生命力を強化することが本質治療です。

そして病体に応じて適切な対症療法、経絡治療では補助療法、標治法を施すと早く治ります。

鍼灸師の鍼灸師による鍼灸師のためのOWND ONE

鍼灸にはあらゆる流派や様式が在ります。 この多様性が日本鍼灸の優秀性のひとつだと感じています。 各流派に優劣は在りません。 それぞれに素晴らしい学術があり、互いに切磋琢磨する間柄です。 流派は違えど、患者を病苦から救うという同じ使命を持った鍼灸師に違いはありません。 元々1つです。 互いを認め高めあい、上工に成れるように、願いを込めてこの名前を付けました。 どうぞ、よろしくお願いします。